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返事の来ないラブレター

あれは高校2年の終り頃。私はファミリーレストランでウエイトレスのアルバイトをしていたのだが、厨房で働く社員の男性を好きになった。彼は私より8歳年上の25歳。ちょっぴり背伸びしたい年頃の私にとって、仕事のできる大人の彼はとても魅力的に映った。

アルバイト先の仲間は皆仲が良く、バイト後にちょくちょくご飯に行くことが多かったため、積極的だった私は一緒するたびに必死にアプローチした。

その甲斐あって、なんとなくお付き合いっぽい関係になった私たち。

お付き合いっぽい、というのは、同じ職場や年齢差を気にした彼が、周りに内緒ということにしていたからだ。

意中の彼を射止めたばかりの私は、職場に内緒なんて大人な恋!と浮かれていたが、数か月もたつと、二人の関係を内緒にするなんて「カップルなのに片思いしてるみたい・・・」子どもだった当時の私にはとてももどかしく、いつもモヤモヤしていたように思う。



そうゆう空気はどんどん広がるものなのか、私が高校を卒業する頃には会う回数が少しずつ減っていった。

卒業した私は就職のため当然アルバイトもやめ、不安な気持ちのまま社会へ踏み出したのだ。しかしそのまま彼に会うことはなくなった。



それから1年がたち、19歳になった私は前に進めずにいた。

まだ、彼を忘れられていなかったのだ。

社会人になっても何も成長していなかった私。

ずっと、苦しい気持ちのまま1年を過ごしていた。

このままじゃいけない、と、ある決意をした。

電子メールやラインが当たり前の今では考えられない古風な手段。

手紙を書くことにした。

付き合っていた当時、とても切ない気持ちでいたこと、フェイドアウトな別れは納得いかず、ずっと忘れられず今も好きでいること、色々な思いをしたためた。

ポストに投函するとき、誰かに聞こえるんじゃないかと思えるくらいに心臓がドキドキ高鳴った。きっと告白したとき以上に。



わかってはいたが、一週間たっても、一か月たっても、返事は来なかった。

でも、不思議と気持ちはすっきり。

それから私は前を向いて歩きだした。



あれから20年。

不器用でちょっとウザかった私を、今の私は愛おしいと思う。