中学2年の片思い

中学2年の時の話です。
私には小学4年生の頃から好きな子がいました。


その子はいつもニコニコと笑っていて、物腰も柔らかく、勉強やスポーツも得意で、所謂優等生でした。


私はと言えば、勉強もスポーツも凡庸そのもの。人より優れた才能などなく、どちらかと言えば劣等生。


そんな私にも、彼女は優しく接してくれるのでした。

『あの子は足の速い男が好みなんだよ』

私の小学校からの女友達が、私の片思いに気付いて教えてくれました。

『どうすれば足が速くなれるだろう?』

彼女に自分を気付いて欲しくて、私は足が速くなるため、陸上部の短距離の練習を見たり、それこそ体育の先生に相談してみたりして、私なりの努力をしました。

秋になり体育祭が近付くと、努力の甲斐有ってリレーの選手に選ばれました。
それまでの私からすれば、それは快挙でした。


そして体育祭当日。私はリレーで2人を抜き去りクラスを一位に導く目覚ましい活躍。
クラスでヒーローになったのでした。

そんな体育祭から1週間後、それまで口もきいたことの無い生徒会副会長に呼び出されました。

『俺さ、アイツと付き合ってるんだ。悪いけど、諦めてくれる?』

何故副会長が私の片思いを知っていたのかは分かりません。


今にして思えば、こんな事をわざわざ言いに来る様なケツの穴の小さい男で、体育祭での活躍はそれ程目立つものだったのでしょう。


本当はもっと自信を持って、副会長に言い返すべきだったのです。


しかし、その時の私には付き合っている2人に割って入る様な気概などなく、結局告白などしないと言うしか有りませんでした。

ずっと時が経ち、それぞれ家庭を持ってから同窓会が開かれました。
彼女もすっかりおばさんになっていました。


そんな彼女に
『あの体育祭のリレーは凄かったよ。一時期だけど好きになってた』


『え?副会長?あー何度か告白されたけど、結局付き合わなかったよ?何で?』


と言われました。
もしかして違う人生が有ったかもしれません。